2026年は、人事・労務担当者が対応すべき制度の変更が数多く控えている年です。最低賃金の引き上げからカスタマーハラスメント対策まで、対応が漏れると行政指導や企業イメージの毀損につながりかねません。この記事では、厚生労働省などの一次資料をもとに、2026年に施行が確定している人事・労務関連の法改正を、施行日・対象企業規模・対応事項の一覧で整理します(2026年9月時点の情報にもとづきます)。

この記事を読むとわかること
  • 2026年に確定している人事・労務関連の制度変更が一覧表でわかる(出典)
  • 最低賃金の引き上げ目安とカスタマーハラスメント対策の具体的な対応事項がわかる(出典)
  • 女性活躍推進法・障害者雇用促進法の公表義務・法定雇用率の変更点がわかる(出典)
  • 年金制度・社会保険適用拡大・パートタイム有期雇用ルールの2026年分の見直し内容がわかる(出典)
  • 今日から使える対応チェックリストが手に入る

【一覧表】2026年に人事・労務担当者が対応すべき法改正7つ

結論から言うと、厚生労働省など一次資料で確認できる、2026年に対応すべき人事・労務の法改正は7つあります。

まずは全体像を一覧表で把握し、気になる項目から本文の詳細セクションに進んでください(詳しい出典は各項目末尾のリンクに記載しています)。

法令名(出典) 対応開始時期 対象企業規模 主な改正内容
女性活躍推進法の改正 2026年4月1日 常時雇用労働者101人以上の事業主 男女間賃金差異・女性管理職比率の公表義務を拡大
障害者雇用促進法の改正 2026年7月1日(令和8年7月) 従業員37.5人以上(現行40.0人以上から拡大) 法定雇用率を2.5%から2.7%に引き上げ
労働施策総合推進法の改正(カスハラ防止) 2026年10月1日 業種・規模を問わずすべての事業主 カスタマーハラスメント防止措置を義務化(一部規定は4月先行施行)
パートタイム・有期雇用労働法の改正 2026年10月 全企業(規模の限定なし) 待遇差の説明を求められる旨の書面明示義務を新設
社会保険の適用拡大(いわゆる106万円の壁) 2026年10月 従業員51人以上の企業(規模要件は2026年10月時点で維持) 月額賃金8.8万円の賃金要件を撤廃
年金制度改正法(在職老齢年金の見直し) 2026年4月(令和8年4月) 企業規模要件なし(在職中の年金受給者個人) 支給停止調整額を62万円から65万円に引き上げ
令和8年度 地域別最低賃金の改定 2026年10月ごろ(都道府県により異なる) 全企業 目安は全国加重平均1,176円(+55円)
⚠️ 注意

労働基準法の大規模な見直しなど、まだ成立・確定していない議論もあります。本記事では、一次資料で時期を確認できた確定済みの内容のみを扱っています。

最低賃金2026年10月の改定と実務対応

結論として、厚生労働省によると、令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,176円(前年度比+55円)に引き上げられる見込みです。

引き上げ率は全国加重平均で4.9%、ランク別の目安はAランクが+54円、B・Cランクが+56円などとなっており、都道府県ごとの正式な改定額は各地方最低賃金審議会の答申を経て、例年9月下旬から10月にかけて決定されます(出典: 厚生労働省)。多くの地域で2026年10月1日前後の発効が見込まれますが、発効日は都道府県ごとに異なります。

[memo title=”📝 補足”]

本記事執筆時点(2026年9月)では、都道府県別の具体的な改定額(例:東京都○○円)はまだ確定発表されていません。正式決定後は厚生労働省の特設ページで確認してください。

[/memo]

人事・労務担当者が今のうちに進めておきたい実務対応は、次の3点です。

  1. 給与システムの時給単価を見直す(最低賃金を下回る設定がないか事前に点検)
  2. パート・アルバイトの時給を点検する(改定後の最低賃金額と現行時給を突き合わせる)
  3. 求人票・雇用契約書の時給表記を更新する(改定発効日に合わせて反映)

カスタマーハラスメント防止措置の義務化(2026年10月1日)

結論として、2026年10月1日から、労働施策総合推進法の改正により、業種・規模を問わずすべての事業主にカスタマーハラスメント(通称カスハラ)防止のための雇用管理上の措置が義務付けられます(出典: 厚生労働省)。治療と仕事の両立支援等、一部の関連規定は2026年4月1日から先行して施行されています。

事業主に求められる雇用管理上の措置は、次の5つです。

  1. カスハラ防止の方針を明確化し、社内に周知・啓発する
  2. 従業員が相談しやすい相談体制を整備する
  3. カスハラが発生した際の事実確認と再発防止措置を行う
  4. 相談者のプライバシー保護・不利益取扱いの禁止を周知する
  5. 労働者が安心して働ける職場環境を整備する
💡 ポイント

既存のハラスメント相談窓口(パワハラ・セクハラ)を兼用する形でカスハラ相談も受け付けられるよう、就業規則にカスハラ防止方針を明記しておくと対応がスムーズです。

女性活躍推進法・障害者雇用促進法の改正

2026年4月1日から、厚生労働省によると、常時雇用労働者101人以上の事業主に男女間賃金差異と女性管理職比率の公表が義務付けられます。

公表期限は各事業年度終了後6月30日までです。従来、男女間賃金差異の公表は301人以上の企業のみが対象でしたが、対象範囲が101人以上に拡大されます(出典: 厚生労働省)。情報開示という観点では、人的資本経営の情報開示とも関連の深いテーマです。

また、障害者雇用促進法の改正により、2026年7月1日(令和8年7月)から民間企業の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられ、対象となる事業主の範囲も従業員37.5人以上(現行40.0人以上)に拡大されます(出典: 厚生労働省)。法定雇用率の引き上げは採用戦略の見直しにも直結するため、採用計画への影響を早めに確認しておくと安心です。

年金制度改正法・社会保険適用拡大・パートタイム有期雇用ルール

厚生労働省によると、在職老齢年金の支給停止調整額は2026年4月から月額65万円に引き上げられます。

年金制度改正法(令和7年法律第74号)によるもので、令和7年度の62万円からの引き上げにあたります(出典: 厚生労働省)。賃金と年金の合計が基準額を超えても年金が支給停止されにくくなり、高齢者の就労を後押しする狙いがあります。

2026年10月からは、短時間労働者の社会保険加入要件のうち、月額賃金8.8万円(年収換算で約106万円)以上という、いわゆる「106万円の壁」の賃金要件が撤廃されます。所定労働時間が週20時間以上であることなど、他の要件は引き続き適用されます。なお、企業規模要件(現行は従業員51人以上)自体は2026年10月時点では変更されず、2027年10月以降に段階的な緩和が予定されています(出典: 厚生労働省)。

あわせて2026年10月からは、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れる際に、待遇差の内容や理由の説明を求めることができる旨を書面で明示することが新たに義務付けられます。同一労働同一賃金ガイドラインも改正され、家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇の考え方が裁判例を踏まえて明確化されます(出典: 厚生労働省)。

2026年法改正対応チェックリスト

ここまでの内容を、そのまま社内共有できるチェックリストにまとめます。

人材要件・制度設計の見直しと合わせて、優先度の高いものから着手してください。

  1. 給与システムとパート・アルバイトの時給を、最低賃金の引き上げ(2026年10月目安)に合わせて更新する
  2. カスハラ相談窓口を整備し、防止方針を就業規則に明記する
  3. 女性管理職比率・男女間賃金差異の公表体制を整える(常時雇用101人以上の企業。出典)
  4. 障害者雇用の状況を点検し、法定雇用率の充足状況を確認する
  5. パート・有期雇用の労働条件明示書式を見直す
  6. 社会保険の適用拡大にともない、新たに加入対象となるパート従業員を洗い出す
  7. 在職中の年金受給者である従業員がいる場合、基準額の変更時期を人事・給与担当者間で共有する
💡 ポイント

2026年10月にカスハラ防止・社会保険適用拡大・パートタイム有期雇用ルール・最低賃金改定が集中します。早めに社内タスクを洗い出し、担当者と期限を割り振っておくことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年の人事・労務の法改正は、いつから対応が必要ですか?

A. 最も早いものは2026年4月から始まり、7月、10月と複数の改正が続きます。

Q. 中小企業もこれらの法改正の対象になりますか?

A. 改正によって対象範囲は異なります。カスタマーハラスメント防止措置とパートタイム・有期雇用労働法の改正はすべての事業主が対象ですが、女性活躍推進法(常時雇用101人以上)や障害者雇用促進法(37.5人以上)のように、一定の従業員規模を超える企業のみが対象となる改正もあります。自社の従業員数と照らし合わせて確認することをおすすめします(出典: 厚生労働省)。

Q. カスタマーハラスメント防止措置を怠るとどうなりますか?

A. 厚生労働省は、事業主に方針の明確化や相談体制の整備など5つの雇用管理上の措置を求めています。措置が不十分な場合、行政による助言・指導の対象となる可能性があります。詳細は所轄の労働局にご確認ください(出典: 厚生労働省)。

Q. 最低賃金の都道府県別の引き上げ額はいつ分かりますか?

A. 2026年9月時点で公表されているのは、中央最低賃金審議会が示した全国加重平均の目安(1,176円)のみです。都道府県ごとの実際の改定額は、各地方最低賃金審議会の答申を経て、例年9月下旬から10月にかけて公表されます(出典: 厚生労働省)。

Q. 社内対応は何から始めればよいですか?

A. まずは自社が各改正の対象に該当するか(従業員数・業種など)を確認し、本記事のチェックリストを使って優先度の高いものから着手することをおすすめします。カスハラ防止措置と最低賃金の引き上げは2026年10月に集中するため、早めの準備が重要です。

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この記事は lucegram編集部が最新の一次情報をもとに AI を活用して作成し、公開前に編集部が内容を確認・校閲しています。